こんにちは!熊野です。
5/16(木)に神戸大学先端融合研究環統合研究拠点コンベンションホールで開催された、アクセシビリティの祭典 2019 -インクルーシブな世界 –に参加いたしました。会場は開催に関わる方の熱量がものすごく、大変貴重なセッションを聴講させていただきました。今回は、そのレポートををしていきたいと思います。
目次
神戸のNPO法人アイ・コラボレーション神戸さんが、2015年から開催されているアクセシビリティ関連のイベントです。(今年は記念すべき5年目!)
アクセシビリティの祭典は「Webの世界」と「福祉の世界」をつなぎます。
充実した人生をより長く送るためにコミニュケーションはかかせません。
Webは身近な人や遠隔地にいる人とのコミュニケーションを可能にします。多くのWeb関係者の努力で、支援技術を用いて利用できる様々な分野のWebコンテンツやWebサービスも、今は充実しています。
アクセシビリティの祭典ウェブサイトより引用
12時半開場、19時15分閉会でセッションはなんと13ありました。どれもこれも濃い内容ばかりで全てをご紹介することはできませんが、特に刺激を受けたセッションをご紹介いたします。
Yahoo!株式会社の天気・災害アプリのUI改善をされた際のセッションで、社内にいらっしゃる当事者の方の声を聞き入れて、UIデザイナーが天気図のユーザビリティテストをしてアクセシビリティ改善したというお話がありました。
(登壇資料 : インクルーシブなサービス改善 〜当事者の声を取り込む〜 #accfes)
普段からツールを使ってアクセシビリティを判定していたものの、ロービジョン5名の社員さんにテストしてもらった結果、様々なフィードバックがあったとお話されていました。同じロービジョンでも、人によって見え方は様々なので、そこには当事者にしかわからない「体験」があるのかなと感じた次第です。
参考 :ロービジョンとは
また、開発プロセスのテストフェーズで当事者の声を取り入れてらっしゃる事は非常に印象的でした。災害など人の命に関わるサービスを開発するにあって、高い品質を保つためには何より「仕組み化」する事が大切なのではないでしょうか?
2つ目にご紹介するのは、freee社でのアクセシビリティへの取り組みのセッションです。
freee社には強豪と呼ばれる全盲のエンジニアの方がCAO(チーフ・アクセシビリティ・オフィサー)としていらっしゃり、全てのプロダクトは中根さんのレビューが通らないとリリースできず、そこで高いアクセシビリティが担保されているとおっしゃられていました。
指摘内容は全てGitHubでチケット化され、それをもってデザイナーorエンジニアが対応するといったプロセスで、前述のYahoo!社と同じくやはり当事者の声を開発に組み込むといった取り組みは必要だと強く感じた次第です。
最後にご紹介するのは、Website Usability Infoというブログを運営されている土屋さんによるセッションです。
ウェブサイトにおけるアクセシビリティの要件は年々あがってきており、その歴史は建築と似ていると仰られていたのが大変印象的でした。
東京都では去年の10月の条例で民間事業者に対しても情報アクセシビリティ(出展:https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/tyosa/h26info/chapter1.html)の義務化が進んでおり、ソフト・ハード両面にわたる社会のバリアフリー化を推進し、アクセシビリティの向上を図ることが言及されています。今後法律が整備されていくにあたって、建築のような基準が設けられ、アクセシビリティに対する専門性が問われる未来が近いのではないかと感じました。
会場は満席状態でアクセシビリティへの熱量と関心の高さが伺えました。
全てのセッションを通じて感じた事ですが、多様性を認め合う社会に変化しつつある今、より多くの人々に受け入れられるコンテンツを作る事が私たち制作者に求められているのではないでしょうか?
今回の投稿では書ききれないぐらい、内容の濃いセッションばかりでした。
また来年も参加したいと思います!